第30回しまね映画祭
グラントワシアター10月 「年に一度の35ミリフィルム上映!」
【優秀映画鑑賞推進事業】
日本映画の不朽の名作をスクリーンで観る、貴重な機会をお見逃しなく!
今年度のグラントワ会場は、男女の心のあやを冷徹な視線で描写し、確固たる作風を築いた成瀬巳喜男監督と、叙情的な作風で多くの観客を魅了した木下惠介監督の珠玉の作品を上映します。
【上映日・上映時間】一日2作品上映
■10月20日(水)開場12:30、開演13:00
①めし(97分)
開演15:00
②流れる(116分)
■10月21日(木)開場12:30、開演13:00
③二十四の瞳(155分)
開演15:55
④野菊の如き君なりき(92分)
【会場】 グラントワ小ホール
【入場料】 全席指定 30歳以下無料
1日券: 一般500円(会員400円)
※30歳以下の方は、無料入場券をお求めください。
※上映日時点で30歳以下の方が対象です。
※入場時に年齢のわかるもの(免許証・保険証など)をご提示ください。
※1日通し券で同日2作品をご鑑賞できます。
※前売・当日同料金
※チケットはグラントワのみで販売します。電話予約も可能です。
※1日2作品上映(1日通し券)です。お日にちを指定してお買い求めください。
※各日1回目作品終映後、約20分の休憩を挟んで2回目の作品を上映します。
※本上映では、座席の間隔を確保するため着席可能座席を制限しています。
※各回とも前売券が定数に達した時点で販売終了します。その場合、当日券はございませんので予めご了承ください。
※無料託児サービスはございません。
【チケット発売日】9月10日(金) 窓口9:00~/電話予約12:00~ *発売日のみ
【主催】(公財)しまね文化振興財団(いわみ芸術劇場)、国立映画アーカイブ
【共催】芸術文化とふれあう協議会
【特別協力】文化庁、(社)日本映画製作者連盟、全国興行生活衛生同業組合連合会
【お問合せ】(公財)しまね文化振興財団(いわみ芸術劇場) 0856-31-1860
作品概要
■めし (1951年/97分/東宝【白黒】)
原作 林芙美子/監修 川端康成/監督 成瀬巳喜男
出演 上原謙、原節子、島崎雪子ほか
黒澤、溝口、小津に続く〈日本の四番目の巨匠〉として、今や世界中の映画批評家から熱い視線を受けるに至った成瀬巳喜男監督の代表作に数えられる作品。監督を〈世界のナルセ〉の地位に押し上げるに功のあったアメリカの映画批評家オーディ・ボックなどは、本作を成瀬作品のなかでもっとも好きな作品と語っている。結婚生活も5年が過ぎ、倦怠期を迎え始めた夫婦。そこに突然、夫の姪が転がり込んできたことから、単調だった二人の暮らしに思いもよらぬ波乱が生じはじめる。美男美女の主演二人が、本作ではともに中年にさしかかり、平凡で退屈な男と所帯やつれした女になったさまを、見事に好演している。原作は林芙美子による未完の新聞連載小説。その結末を含め、脚色を委ねられた田中澄江と井手俊郎の良質な叙情と煥発する才気とが美しく調和し、繊細極まりない成瀬の演出と玉井正夫の撮影のなかに開花している。「キネマ旬報」ベストテン第2位。
■流れる (1956年/116分/東宝【白黒】)
原作 幸田文/監督 成瀬巳喜男
出演 田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子ほか
隅田川畔の花柳界・柳橋を舞台に、置屋の女中として雇われた女の眼を通して、零落する花街の姿を描いた幸田文の同名小説を、田中澄江、井出俊郎による脚色により成瀬巳喜男が映画化。前年『浮雲』にてベストワン監督となった成瀬が、当代を彩る女優陣の火花散る競演を得て、芸者として生きるさだめを抱えた女たちのけなげさやエゴを存分に引き出し、代表作の一つとした。置屋の女将を務めながら男への未練を断ち切れない山田五十鈴演じるつた奴に、彼女を芸者として鍛え上げた地元有力者の女将お浜が絡む場面は、原作にはあまり描かれていないが、成瀬に請われ18年ぶりの銀幕復帰となった栗島すみ子による、やさしさと冷徹さを兼ね備えた存在感により、スリリングな緊張感をもたらしている。また、つた奴の娘・勝代を演じた高峰秀子、老齢にかかった芸者のアクを見せた杉村春子とともに、映画全体の距離感を作り出した女中役・梨花(お春)の田中絹代の演技も見逃せない。女優たちの艶とケレン味が、座敷の場面を一つも描かずして、セットと実景を見事に結合させた空間構成のなかから引き出され、現実の変化とともに確実に失われつつある時代への郷愁を、艶やかなモノクロームの画面に見事に定着させている。「キネマ旬報」ベストテン第8位。
■二十四の瞳 (1954年/155分/松竹【白黒】)
原作 壷井栄/脚色・監督 木下惠介
壷井栄が1952年に発表した児童小説を、当時気鋭の中堅監督であった木下惠介が脚色・監督した作品。小豆島の豊かな自然を背景に、戦争をはさんだ激動の時代を、小学校の教師とその教え子たちの成長を通して描き、国民的大ヒットとなった感動大作である。風光明媚な島の自然をとらえるために長期にわたるロケーションが行われたのはもちろんだが、セット撮影であることを感じさせず、「自然のように」見せる配慮が画面の隅々まで行き届いていることも見逃せない。小学唱歌のみを用いた音楽も特徴的である。木下はこの作品の成功で、一般には叙情派監督として大きく印象づけられることになった。冒頭の場面と同じく再び自転車に乗って、岬の分教場に向かう主人公、大石先生を小さく映し出すラストシーンには、毫も変わらぬ自然、その中を点景のごとく生きていく人間、そして人間の営みに対する木下の思想が集約されている。「キネマ旬報」第1位をはじめ、この年の映画賞を独占した。
■野菊の如き君なりき (1955年/92分/松竹【白黒】)
原作 伊藤左千夫/脚色・監督 木下惠介
出演 有田紀子、田中晋二、笠智衆ほか
原作は、明治の歌壇で正岡子規に師事した著名な歌人、伊藤左千夫の小説「野菊の墓」。数十年ぶりに故郷を訪れた老人の追想が、信州の美しい自然を背景に回想形式で描かれる。旧家に育った少年と、2歳年上のいとこの少女との淡い恋愛が、古い道徳観に縛られる大人たちによってとがめられ、二人は離ればなれにされたうえ、少女は嫁ぎ先で少年の手紙を握りしめて死んでしまう。その思い出を回想する場面で、木下監督は、スタンダード・サイズの画面を白地の楕円形で囲むという大胆な表現形式を採用し、シネマスコープならぬ「たまごスコープ」と称されて話題となった。この作品では、木下の叙情性がストレートに表現されているとともに、詠嘆的美しさとしての完成度が感じられるものとなっている。主人公に起用された有田紀子と田中晋二は無名の新人で、演出意図に沿った初々しさを充分に発揮している。「キネマ旬報」ベストテン第3位。
新型コロナウイルス感染症対策について
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