このたび、島根県出身の彫刻家、澄川喜一が文化勲章を受章いたしました。これを記念し、島根県に寄贈された作品のなかから、作家のライフワークとなっている「そりのあるかたち」シリーズを中心に、選りすぐりの作品約15点を紹介いたします。
澄川喜一は、1931(昭和6)年、島根県鹿足郡六日市町(現・吉賀町)に生まれました。高校時代を山口県岩国市で過ごし、木造の大橋・錦帯橋の魅力に惹かれたことから造形の世界に没頭。東京藝術大学で日本近代彫刻を代表する彫刻家、平櫛田中と菊池一雄に師事し、卒業後は同大学の教授として、多くの後進を育てながら、数々の立体作品を世に生み出してきました。特に木や石という自然の素材を活かし、日本の伝統美に感応した、独特の曲線を表した「そりのあるかたち」は、抽象造形のなかに、東洋的美意識の無限の可能性を見いだし、現在も一貫して続くテーマとなっています。この「そりのあるかたち」シリーズは、顔のかたちを抽象化した《MASK》シリーズを経たのち、1970年代後半からスタートします。全国各地の野外彫刻の仕事を数多く担う1980年代、続く90年代には、木の個性を最大限に生かした力強い造形へと進化し、彫刻の置かれた環境に凛とした空気感をもたらします。生涯このテーマを追い続けながら、今なお進化を遂げるその美の変遷をご覧ください。
なお、現在、文化勲章もご覧いただけます。
[会期]2020年12月3日(木)~2021年2月15日(月)
[開館時間]9:30~18:00(展示室への入場は17:30まで)
[休館日]毎週火曜日、年末年始(12/28~1/1)
[会場]展示室C
《そりのあるかたち》2018年 杉 島根県立石見美術館蔵 撮影:山﨑信一
文化勲章受章記念 特別対談 澄川喜一×内藤廣
島根県芸術文化センター「グラントワ」の澄川喜一センター長がこのたび令和2年度文化勲章を受章したのを記念し、開館15周年を迎えたグラントワの設計者である内藤廣氏をお招きして初めての対談を行います。日本を代表する彫刻家と建築家が、空間と造形、環境と芸術、これからの文化施設のあり方などについて語ります。
[日時]2021年2月4日(木)18:00~19:30(17:30開場) ※延期となりました。
[会場]グラントワ小ホール 入場無料/事前申込制(1月13日(水)より申込受付開始)
2月4日(木)に予定していた「文化勲章受章記念 特別対談 澄川喜一×内藤廣」は、延期といたします。
開催時期は今後調整し、決まり次第、当ホームページ等でお知らせいたします。
【お問合せ】
島根県芸術文化センター「グラントワ」 〒698-0022 島根県益田市有明町5-15
TEL:0856-31-1860(代表) FAX:0856-31-1884(代表) E-mail:zaidan@grandtoit.jp
1931年 | __島根県鹿足郡六日市町(現・吉賀町)に生まれる |
1951年 | __山口県立岩国工業高等学校機械科卒業 |
1958年 | __東京藝術大学彫刻専攻科修了 |
1979年 | __「そりのあるかたち-1」で第8回平櫛田中賞 |
1980年 | __「そぎとそりのあるかたち」で第11回中原悌二郎賞優秀賞 |
1981年 | __東京藝術大学彫刻科教授となる |
1988年 | __山口県庁前庭『鷺舞の譜』他で第13回吉田五十八賞 |
1995年 | __東京藝術大学学長に就任 |
1998年 | __紫綬褒章 |
2004年 | __日本芸術院会員に就任 |
2006年 | __東京スカイツリー®のデザイン監修者に就任 |
2008年 | __文化功労者顕彰 |
2020年 | __文化勲章受章 |
現 在 | __東京藝術大学名誉教授、島根県芸術文化センター長、日本芸術院第一部長 |
澄川喜一センター長の文化勲章受章に際し、森英恵さんからメッセージを頂戴しました。
澄川喜一先生、文化勲章受章のお祝いメッセージ
文化勲章ご受章、おめでとうございます。
尊敬する芸術家、同郷の澄川喜一さんの受章を大変うれしく思います。
先生の創作のベースには故郷の自然があると共感しています。
木や石など自然の素材で創られるシンプルなかたち。むだを削ぎ落とした潔い美しさ。
繊細でダイナミックな「そりのあるかたち」シリーズは、まさに日本の美を象徴していると思います。
お元気で、ステキな作品を創りつづけて下さい。
森 英恵(デザイナー)
令和2年度文化勲章を受章した澄川センター長のコメント動画が、澄川喜一・公式ホームページで公開されました。
グラントワについても熱い想いを語られていますので、是非ご覧ください。
右の文字をクリック → 澄川センター長・コメント動画(3分48秒)